黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

黄金期ジャンプ短期終了作家列伝 その2

 ジャンプの短期終了作品ではなく作家の方にスポットを当てる記事である黄金期ジャンプ短期終了作家列伝、第2弾となる今回紹介するのは「チェンジUP‼」と「暗闇をぶっとばせ!」(作画)の作者の今泉伸二である

 尚、第1弾となる前回でも述べたが、内容については以前紹介した記事と重複する部分も多分にある事を断っておく

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 今泉伸二は高校卒業後一度は就職するも程なく漫画家を目指して退職し、寺沢武一宮下あきら原哲夫といった面々のアシスタントを務める。そして84年に「ブリキの鉄人」がフレッシュジャンプ賞入選、同年フレッシュジャンプ12月号に掲載されてデビューを果たす

 その後86年増刊スプリングスペシャルに「スーパーマンの花嫁」を掲載、同年33号から「空のキャンバス」で本誌初登場にして連載デビューを飾り、連載期間が一年を超えるまずまずの人気作品となる。88年22号からは「神様はサウスポー」の連載を開始すると連載期間は二年を超え、黄金期ジャンプの看板作家とは言えぬまでも中堅作家として名が知られるようになっていった

 そんな今泉伸二の作風と言えば、「空のキャンバス」が体操、「神様はサウスポー」がボクシングをテーマとしていると事からわかる通りスポーツ漫画、…というよりも、前者の主人公は幼い頃に負った背中の傷が今も体を蝕み続け、後者の主人公は左腕が麻痺する持病があるといった身の上なのに加え、他にも似たり寄ったりの不幸を抱えた人物がチラホラいるという不幸の見本市みたいな設定と、登場人物が皆涙もろくて常に誰かは泣いているという、大映ドラマに通じる大仰さだろう

 そして「神様はサウスポー」の終了後、91年増刊サマースペシャルに「ドリーム・ボール」を掲載、92年12号からそれをベースにした野球漫画「チェンジUP‼」の連載を開始したのだが、同作品は作者にしては不幸が大人しめだった為かそれとも作風が飽きられたのか3度目の連載にして初めて短期終了の憂き目に遭ってしまう

 


 と、それまで上昇カーブを描いてきたキャリアが暗転し、93年スプリングスペシャルに「チョコレート☆ミラクル」を掲載したのを経て94年2号から原作者に宮崎博文を迎えてこれまでのスポーツ路線から一転、逃亡者をモチーフにした「暗闇をぶっとばせ!」の連載を開始するが連続で短期終了となってしまい、同作品を最後にジャンプから離れる事となってしまう。結局ジャンプでの連載作品数は4つ、その内短期終了作品は2つで短期終了率は50%であった

 だが、「暗闇をぶっとばせ!」では功を奏さなかったが、原作者をつけるという試みは後に実を結ぶ。95年からスーパージャンプで「炎の料理人 周富徳」(原作KISHO・荒仁)の連載を開始するなど活躍の場を青年誌に移し、01年にはコミックバンチで「リプレイJ」(原案グリム・ウッド)の連載を開始するなど、原作・原案付きの作品を数多く手掛ける事となる。また、09年からは漫画ゴラクで「神様はサウスポー ダイアモンド」、17年にはゴラクエッグで「VIVA‼空のキャンバス」と、往年のジャンプ作品のリバイバル作品も描いていたりもしていて、地味ではあるが意外と幅広く息も長い活躍をしていたりする

 

 尚、余談であるが、現在はYOU TUBEにも進出しており、二年前に開設したチャンネル「今泉伸二 MANGA館」には漫画の描き方指南など色々な動画をアップしている。…のだが、宣伝らしい宣伝も無くサムネにもあまり引きが無い事もあって、チャンネル登録人数は1000人にも満たず動画の再生回数は殆どが3桁で多いものでも1万回も行っていないという状況はかなり寂し過ぎる