前回当ブログではやぎはし正一の「アニマル拳士」を紹介した
そこで今回は同作者の短編集であるこちらを紹介したい
光の戦士
やぎはし正一
作者の経歴については前回の記事を参考にされたし
本単行本に収録されている作品は以下の通り。ついでに初出も併記しておく。それにしてもサマースペシャルが多いのは何故なのか
光の戦士 87年スプリングスペシャル
レプトーン 87年サマースペシャル
悪魔の剣 フレッシュジャンプ85年2月号
ここからは各作品の紹介を
光の戦士
本単行本の表題作。胸に太陽の紋章を持つ戦士の少年ヒカルが、生贄に選ばれた少女マリナを救う為に夜の母神マザーに戦いを挑むファンタジーもの
らいじんぐ☆ライジン
少年剣士ライジンが、死の商人ヨクバールの求婚を断り地球に逃げてきたラビッタ星の王女ラビィンを助ける為にヨクバールの追手と戦う剣豪漫画。因みに原作を務めた藍田豊は90年にブイジャンプに掲載された「超竜球聖伝ドラゴンリーグ」の原作を務めたという事以外の情報は見つからなかった
レプトーン
古代東北に存在した理想郷アラバキアがデビゾン軍によって滅ぼされようとする寸前に三千年後の世界に転送された勇者ライトが、アラバキアの復興の為に暗黒神ダイジャンに戦いを挑むファンタジーもの
ミラクルモンキー健太
天津猿拳道場の跡継ぎ息子なのに運動神経が悪くいじめられっ子の健太がライバル流派である小田犬拳道場の道場主で健太の担任でもある小田先生と決闘を行う拳法漫画。発表時期的に「アニマル拳士」の元となった作品の1つか
悪魔の剣
小学生の幻気は近所のお姉さんから貰った剣を学芸会の劇の小道具として使おうとするが、実はそれは魔王パタンの剣であった。パタンは剣を取り返そうと手下達を連れて劇の最中に乗り込んでくるのだが、幻気はあくまで劇の一環だと勘違いしてノリノリで斬りかかっていくというコメディ
さて、「アニマル拳士」の紹介で私は同作品をコロコロコミックの漫画を読んでいるようだと形容したが、本単行本の収録作の数々を見ると「アニマル拳士」が殊更そうなのではなく、作者の作風がそうなのだと感じる。「ミラクルモンキー健太」はテーマからして「アニマル拳士」と被っているし、他の4本は英雄譚とおとぎ話をミックスした話なのだが、1話完結の読切な為にページが足りないのか説明不足が目立ち「アニマル拳士」以上に展開が唐突かつ強引であり、そういうのを気にする年長者の鑑賞に堪えるものではない。実際オッサンになってから初めて本単行本を読んだ私は何度も途中で投げ出したくなった
だが、色々端折った結果テンポは良く勢いもあるので細かい事を気にしない子供の頃に読んだならまた別の評価になったかもしれない
編集部もそのあたりを評価したのか何度となく増刊に掲載機会を設け、仕舞いには原作者をつけてまでなんとかものにしようとした形跡が見られるのだが、残念ながら前回の紹介でも触れたとおり作者の作品はバトル漫画としての魅力が少ない。その欠点については前回も挙げたが他にもバトルシーンに躍動感がない上コマが小さく迫力に欠けるし、そもそもバトルの内容が技術や駆け引きといったものが無く、急に生えてきた超パワーでやっつけるという大味なものなので凄味よりコミカルだという印象が勝ってしまっている
そういうバトルはコロコロコミックならいいかもしれないが根本的にジャンプに向いてないと言わざるを得ず、作者は「アニマル拳士」以降二度と連載を持つ事もなく姿を消してしまったのであった