ご存じの方も多いと思うが本日発売のジャンプに「HUNTER×HUNTER」が掲載された。実に約一年半ぶりの事であり、更に7月3日には単行本39巻も発売されるという
中には「休載が多過ぎて興味を失った」だの「どうせ冨樫は完結まで描けやしない」などと辛辣な意見もあるが、なんだかんだ言いつつ読む事が出来て嬉しいという人は多いと思う
そんな訳で今回はそれを記念して「HUNTER×HUNTER」を原作とするこちらのゲームを紹介したい
HUNTER×HUNTER 幻のグリードアイランド
2000年10月26日発売


さて、重要な品物から道端の石ころ、更にモンスターに至るまで全てのアイテムがカード化された世界を巡って指定のカードを集めればクリアというゲームを舞台にしたグリードアイランド編と言えば原作でも屈指の人気エピソードの1つであり、カードを駆使したプレイヤー間の駆け引きにワクワクし、こんなゲームが現実にもあったらプレイしたいと思った人も多かっただろう
本ソフトはそんな人達の望みを叶える事が出来るゲームである…とはならなかった。というのも、ゲーム内容が原作のグリードアイランドとは全く違うからだ
どこがどう違うのか? まずはプレイヤーキャラの名前などを入力した後に流れるストーリーの冒頭が↓の画像である

ジャック・カメリって誰だ? グリードアイランド編に登場する資産家と言えばバッテラの筈では
更にゲーム内部の様子も違っていてプレイヤーキャラを含めた主要な登場キャラは軒並み記憶を失っているし、その登場人物にしてもビスケやゲンスルー、レイザーといった原作のグリードアイランド編をを彩ったキャラは出ず、代わりにレオリオやズシなどグリードアイランドに参加していないキャラが出てきたりする


またゲームシステムも全く別物である。前述のとおりグリードアイランドというゲーム最大の特徴はカードであるが、本ソフトにはカードの類は出てこない。厳密にはヒソカが武器として使用するトランプが出るが、そういう事じゃないのは説明の必要もないだろう
ではどういうゲームシステムかというと、簡潔に言えば所謂ローグ系である
わからない人の為に説明すると、ローグ系とはダンジョンのマップは自動生成される、プレイヤーキャラが戦闘不能になると入手したアイテムはすべてなくなる、レベルはダンジョンに入る度に1に戻されるなどの特徴を持つダンジョンRPGの総称である。その名のとおり「ローグ」というゲームを嚆矢とし、不思議のダンジョンシリーズを経て現在ではRPGじゃなくても上に挙げた特徴の幾つかでも持っていればローグ系(ローグライク・ローグライト)と呼ばれるまで肥大したジャンルであるが、本ソフトは拾ったアイテムの効果は使用するまでわからないという特徴は備えていないものの、ローグ系としては比較的オーソドックスなシステムだと言えよう

また、本ソフトならではの特徴としては原作でもお馴染みの念能力がある。ただ、原作とは違ってゲーム内で使用する念能力はそのキャラ特有のものは少なくて複数のキャラが使用できる汎用のオリジナル能力が多く、途中で新たな念能力を習得する事も出来るという普通のRPGでいう魔法のような存在となっている

以上のように本ソフトはストーリーもシステムも原作とは別物になっているのだが、それについては当然とも言える。というのも、原作は本ソフトが発売された時点ではグリードアイランドというゲームの存在については描かれているが、ゲームの内容について描かれるのは本ソフトが発売された翌年になっての事だからだ。なので、そこは仕方ないとしてもゲームとして出来が良ければそれはそれとして受け入れられた事だろう。出来が良ければ…
そう、本ソフトの問題は原作のグリードアイランドとは別物だという事では無く、ゲームとしての出来があまりよろしくない事である
最初に挙げられる問題点はローグ系としての魅力に欠ける事だろう
ローグ系の魅力といえば、どんなに強くなっても良いアイテムを手に入れても戦闘不能になればすべて失われてしまうというスリルと、ダンジョンで敵に囲まれるなどのピンチに陥った時にそれまで拾ったアイテムによって様々な回避方法があるという柔軟で多様な攻略性が挙げられる
だが、本ソフトの場合、ダンジョンの数は多いが個々のダンジョンは階層が少ない為に拾えるアイテムは少ないし、拾えるアイテムもHP回復やステータスアップなどばかりで単純に殴り勝つ以外の回避法は少ない。更に後半のダンジョンになると1階から強力な敵が出て来るのでアイテムで対処もクソも無く殴り負けるだけである
ではどうすればいいか? 強くなればいい。上で挙げたように本ソフトはダンジョンに入る度にレベル1に戻り、戦闘不能になる度にアイテムも失われてしまうのだが、例外で装備品だけは失われない。そして防具は店で売っているし、武器はダンジョン内で入手する強化素材とお金で改良可能、更には現行の装備でもお金を払えば強化出来る。なので、次のダンジョンに行けるようになっても先を急がず今のキャラの実力で攻略できるダンジョンを何度も巡って強化素材とお金を貯めて強くしてから先に進むというローグ系とは真逆の地道な繰り返しプレイが要求される

だが、それだけならまだローグ系としての魅力には欠けるがそういうゲームとして受け容れられよう。だが、本ソフトは繰り返しプレイをするにはストレスが溜まる要素が多すぎるという更なる問題がある
システム的にレベルアップが頻繁に起こるのにその度に微妙に時間が掛かってテンポが悪くなったりゲーム中に手に入れたパスワードを入力するには一度タイトルに戻らなければならないとか細かいストレス要素は数あれど、中でも一番ストレスが溜まるのが仲間である。本ソフトはゴンやキルアといった原作でお馴染みのキャラを最大3人まで仲間に出来るのだが、これがおバカ過ぎるのだ

まず、上記のように本ソフトでは魔法の代わりのように念能力を使用できるのだが、仲間は基本的に念能力を使用しない。たとえ瀕死の仲間がいても回復してくれないし、遠距離攻撃能力の射程距離に敵が入っても何もしない。ただひたすらに移動と通常攻撃を繰り返すだけであり、念能力を使用させたければその都度R1ボタンを押してキャラに指示を出さねばならない
何より最大の問題は見えている罠を避けてくれない事である。そして仲間はプレイヤーキャラの後をついて歩く。つまりプレイヤーが罠に引っ掛かってしまうと後続も次々に罠を踏んで被害が拡大してしまうのだ。これが周りを巻き込んで大ダメージを与える罠だったり何体もの敵を召喚する罠だったりするとその被害は尋常ではなく敵以上に仲間が脅威になりかねない。一応メニューを呼び出して設定で仲間を自分で操作する事で回避出来るのだが、そうすると操作の手間が4倍になってしまってどのみちストレスが溜まるという二段構えとなっている

おかげで挫折して売り払った人が多かったのか、本ソフトは原作ではオークションで350億ジェニーを超えるとされているのに私が入手した際の値段は数十円プラス送料という有様だ
そんな訳で全くおすすめはしない本ソフトであるが、値段が安いので久しぶりに新エピソードが掲載されたご祝儀として購入するのも一興かもしれない。そのお金は冨樫やジャンプ及び集英社には一銭も入らないが