個人的な話であるが先週の金曜日5月12日に「ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム」を購入して現在絶賛プレイ中である
思えば私が初めて「ゼルダの伝説」シリーズに触れたのは初代で、それ以来四十年近くの付き合いになるものの、シリーズを全部プレイした訳ではなく、プレイした作品の中にもクリアせずに投げ出したものもあるくらいで正直そこまで思い入れのあるシリーズでも無かったのだが、前作の「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド」にドハマりしてしまって新作が出るのを指折り数えて待っていたのだ
さて、まだ数日しかプレイしていないが現時点での「ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム」の感想は、勿論面白く購入した事は全く後悔していないのだが、革新的だった前作に比べるとインパクトは弱く、良くも悪くも続編だなという印象だ
そんな訳で今回は「ゼルダの伝説」のようなファンタジー作品を多く収録したこちらの短編集を紹介したい
疾風のジーク
杉根英朋
作者の杉根英朋は以前当ブログで紹介した「ファイアスノーの風」の作者松根英明と同一人物であり、経歴については下の記事を参考にされたし
…と思ったが、読み返してみたら経歴には殆ど触れていなかったので補足を
作者は90年に「光のアルシャーネ」で手塚賞準入選、同作品が90年サマースペシャルに掲載されてデビューを飾る。その後増刊で2本、本誌で1本(タイトルは後述)読切を掲載した後ペンネームを本名の松根英明に変更して「ファイアスノーの風」で連載デビューを果たしたのであった
それにしても同じ作者で以前は「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」と、今回は「ゼルダの伝説」と関連付けるのは強引だし他に無いのかと正直自分でも思うのだが、この手の作品は黄金期ジャンプの作品には少ないのでご理解のほどを
さておき、本単行本に収録されている作品と初出は以下の通りである
光のアルシャーネ 90年サマースペシャル
アモンの剣 光のアルシャーネ外伝 90年オータムスペシャル
黒の剣士RAION 90年ウインタースペシャル
疾風のジーク 91年11号
各作品を軽く説明すると「光のアルシャーネ」は滅びたファラ王国の秘宝である命の宝珠を巡って闇の閃光の異名持つ者とその名を騙る者たちが繰り広げる物語で手塚賞準入選作にして作者のデビュー作。「アモンの剣 光のアルシャーネ外伝」はタイトル通り「光のアルシャーネ」の登場人物であるアモンの前日譚的物語。「黒の剣士RAION」は父親の仇を探す剣士レイオンと彼の持つ黒の刃を狙う女スリの物語。そして「疾風のジーク」は父親の仇を探す魔剣士ジークと彼に剣術を習おうとつきまとう賞金稼ぎ志望の女の物語。とまあ、収録作品は全て所謂ヒロイックファンタジーである
それもその筈で、本単行本のあとがきによると作者が漫画家を志した理由は中学生の頃に剣士の冒険マンガが描きたいと思ったからだという
ヒロイックファンタジー一本やりというだけでもかなり作風が狭いと言えるのだが、設定もかなり狭く復讐譚が多い、というか上の説明でも触れた「黒の剣士RAION」と「疾風のジーク」だけでなく他の2作品も主人公は祖国を滅ぼされているので全てそうだとも言える。また、足手まといの同行者というシチュエーションも多く「光のアルシャーネ」以外の3作品に加えて松根英明名義で連載した「ファイアスノーの風」もそうだ
これらをベタベタだの馬鹿の一つ覚えだと言う人もいるだろうし否定は出来ない。が、見方を変えれば王道という事であり、だからこそベタベタだの言われるくらいに多用される訳である。実際収録作品を単体で読んだ場合、いずれも良い意味でも悪い意味でも驚かされる事は少ないが物語として明快で読みやすく仕上がっている。…まあ、続けて読むと流石に食傷気味になるが
その後作者は前述の通り松野英明名義の「ファイアスノーの風」で連載デビューを果たすものの11話で終了、他には94年増刊スプリングスペシャルに「ロイヤル・サーガ」を掲載したのを最後に足取りが掴めなくなった
作者が遺した作品は確認できる範囲では連載作品が1本限りでしかも短期終了、他に短編が5本で発行された単行本は2冊。その足跡は黄金期ジャンプの作家陣においてはあまりにも小さいかもしれない。しかしながら剣士の冒険マンガが描きたいという中学生の頃に抱いた初志を貫徹して漫画家になれただけでなく、僅かな期間と言えども「DRAGONBALL」や「SLAM DUNK」と肩を並べて作品を連載出来たのだから素晴らしいのではないか。皮肉でなく本気で私は思うのである
と、今回はここまでにして「ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム」の続きをやらなければ
それにしても結構プレイしているのに未だ上半身装備が見つからず半裸のままなのだが、こういうものなのか、それとも見落としがあったのだろうか…