黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

ダイの代原稿

 前回当ブログでは「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」を原作とした「インフィニティストラッシュ ドラゴンクエスト ダイの大冒険」の発売記念と言いつつゲームの方の紹介はサッパリしていなかった

 そこで今回はゲームの方も紹介したい。と、当初は考えていたのだが、どうもゲームの評判は私が危惧した通り、というか危惧した以上によろしくないようなので断念させて貰い、その代わりにジャンプの連載漫画を原作としたゲームの中でも評判の良いものを紹介したい。かなり古い作品なのが難点ではあるが

 それはこちらのゲームだ

 

 天地を喰らう(89年5月19日発売)

 カプコン

 

 ゲームの紹介の前に原作を少し紹介させて貰うと、「天地を喰らう」は中国の漢末期を描いた歴史小説である「三国志演義」を基にしてそこにファンタジックな脚色を加えた本宮ひろ志による歴史漫画であり、83年27号から84年38号まで連載されていた

画像は文庫版です

 短期終了ではないものの連載期間は一年ちょっとでしかないにもかかわらず意外に知名度が高いのは、そのインパクトの強いそのタイトルもさることながら、本ソフトの存在も大きいのではないだろうか

 しかもそれだけじゃなく、カプコンはタイトルは同じだが全く別物のアーケード版、更にその両方の続編(ファミコン版は「天地を喰らう諸葛孔明伝」アーケード版は「天地を喰らう赤壁の戦い」)、更に更にその両者とも別物なスーパーファミコン版の「天地を喰らう三国志群雄伝」、ファミコン版をベースにしたがアレンジし過ぎて最早別物となっているゲームボーイ版と都合6本も「天地を喰らう」を原作としたゲームを発売していたりする

画像はアーケード版の「天地を喰らう赤壁の戦い

 これだけの数が発売されたのは最初に発売された本ソフトの売り上げが良かったというのもあるが、カプコン本宮ひろ志の熱心なファンがいたのではないだろうか。なにしろ本ソフトが発売されたの時期からして原作が終了して五年も経ってからの事で、「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のようにアニメ化などのきっかけとなる出来事もなかったのだからその時点で普通ではない

 因みに当時のカプコン社員で本ソフトの開発スタッフでもあった岡本吉起が自身のYou Tubeチャンネルで本ソフトの事について語っているので興味のある方はそちらも見て頂きたい。というか、自分で言うのもなんだがそちらを見た方がよっぽどいい。原作の説明が適当過ぎるのでどこまであてになる話かはわからないが

 さておき、そんな本ソフトは原作の主人公である劉備玄徳の一党を操作して中国大陸の統一を目指すRPGである

 ゲームは劉備関羽張飛の三人が義兄弟の契りを結ぶというお馴染みのシーンから始まり、中国大陸を巡って仲間を増やしつつ黄巾の首領である張角から董卓など三国志でも有名な群雄を倒していくのが目的となっている

 ゲームとしては実際古い作品なので仕方がないが古いタイプのRPGと言え、ほぼお使い&イベント戦闘の繰り返しという内容になっているが、三国志っぽい雰囲気を出す為にRPGではほぼ必須の要素と言えるキャラクターのHPを兵士数に、魔法を計略に置き換えるといったアレンジを加えたり、面倒だがレベルを上げる為に何回もやらなきゃいけない雑魚戦を短時間で済ませられるよう、攻撃対象を選べない代わりにどちらかが全滅するまで勝手に戦ってくれる「そうこうげき」というオート戦闘コマンドを加えたりなど、設定面でもシステム面でも工夫が見られる

 中でも本ソフト最大の特徴と言えるのが、イベント戦で倒した武将がその後通常の雑魚戦でも登場するようになり、勝利する事で仲間に出来るようになるという所だ

 これは正直戦力を強化するという点ではあまり役に立たないのだが、仲間にした武将は以後敵として登場しなくなるので、戦うのが面倒な武将は例えパーティに入れる気が無くても雑魚戦に出なくなるから楽になるというメリットもあるので積極的に仲間にするのが良いだろう。まあ、別にメリットなんて無くても仲間を集められるというだけで楽しいのだが。ポケモンとかもそうだし

 そんな本ソフトだが難点もある。原作の方は董卓が死んだ辺りで終了してしまっているのでそれ以降の展開は正史の三国志三国志演義とも違うオリジナルストーリーになってしまっているし、原作にあったファンタジックな部分はオミットされているので、あまり原作を再現しているとは言えないのである。登場する武将も原作に出てきていない武将の方が多く、しかもキャラグラフィックも本宮ひろ志本人や本宮プロでデザインした訳ではなくカプコンの方でデザインしたという話で、似たような顔が多かったりする

 とは言え、原作再現どころかキャラクター以外は原作を完全無視したゲームも珍しく無いし、昔のRPGの割にはテンポ良くプレイ出来るので原作好き及び三国志好き(但し蜀好きに限る)ならば今プレイしても楽しめる作品となっている。ファミコンジャンプミニに収録されているのでプレイする為のハードルは高くないし

最近値上がり気味なのが懸念材料ではあるが