前回の「飛ぶ教室」の紹介記事の中で「北斗の拳」は当ブログで扱うには不適格だと述べたが、いきなり前言を撤回させて貰って今回は「北斗の拳」を紹介したい
と言っても、流石に漫画を紹介する訳ではない。紹介するのは私が短期終了作品と並んで好きなTVゲームのこちらだ。…別にこのゲームが好きという訳ではないが
北斗の拳3 新世紀創造凄拳列伝
89年10月19日発売 東映動画
以前紹介した「ファミコンジャンプ英雄列伝」の記事などでも触れたが、キャラゲーにはクソゲーが数多く、キャラゲー=クソゲーというイメージが付いたのはクソなキャラゲーを量産したBANDAIのせいであるとマシリトこと鳥嶋和彦も語っている(伏字ではあったが)。しかし、本ソフトの発売元である東映動画も大概で、クソゲーの数自体はBANDAIほど多くないものの、たまに良質なゲームを出すBANDAIと違って東映動画の方は本当にクソゲーばかりなので、ある意味ではBANDAI以上とも言える。…いや以下か
そんな東映動画が発売したゲームの中で一番有名なのは、おそらく86年8月10日に発売された「北斗の拳」だろう
当時としてもお粗末なグラフィックに理不尽な難易度とクソなキャラゲーのお手本と言える「北斗の拳」は、それでも原作が人気絶頂期という事もあって大ヒットを記録してしまった
おかげでシリーズ化して本ソフトがその第3弾となり、前2作がアクションゲームだったのに対して本ソフトはRPGとなっており、ケンシロウとなってリンやバットなどお馴染みのキャラを仲間にして旅をし、カイオウを倒すのが目的だ
そんな訳なので当然ながら本ソフトもクソゲーである。が、どこがクソかを述べる前に本ソフトの良い所を挙げておこう。それはストーリーがジード戦からカイオウ戦まで原作に沿って展開し、戦闘においてはハート戦ではじゅうはざん(北斗柔破斬)以外ではまともにダメージを与えられないなど、一応原作を踏襲している事だ
ただ、細かく見ると原作と違っている部分も多く、オープニングですらこれである
まあ、これは意図的に変えたのではなくただの誤字だと思う(だとしても大事なオープニングで有名な文言を間違えるな)が、他にも原作では登場時には口をきけなかったリンが最初から饒舌だったり、レイが自分でアイリを助けようとせずケンシロウに丸投げしたりと原作と違う部分の多くが原作の雰囲気を損なう結果になってしまっている
原作の雰囲気を損なうと言えば、下の画像を見て頂きたい
これはケンとバットのステータス画面だが、御覧の通りケンよりもバットの方が攻撃力が高い。一応補足しておくとケンは武器が装備できないのに対してバットはナイフを装備している分攻撃力が底上げされている為であるし、レベルが上がるとケンの方が攻撃力が高くなるが、だとしても素手のケンよりもナイフを持ったバットの方が強いというのはあってはいけない事だろう
他に良い部分はというと、戦闘画面のグラフィックは頑張っていて、敵も味方も攻撃を喰らったら顔を歪めるなど芸が細かかったりする
が、フィールド画面は逆に酷く、特にリンとバットは御覧の有様である
一方悪い部分は何かというと、それ以外の全部と言いたい程である。開発スタッフがRPGというものを碌に解っていないのか、とにかく全体的に完成度が低すぎるのだ
それを端的に表しているのが店で、どの町のどの店も入り口から店員までの距離が妙に長い上、カウンター越しに話しかけても反応しないのでわざわざカウンターを迂回して話しかけなければならないという無駄にプレイヤーにストレスを強いる仕様だ。おそらくドラクエなどの既存のRPGの見た目だけを真似たんだろうなあ…
また、上に挙げたオープニングの他にも誤字が多く、チェックが甘いのも見て取れる
そして本ソフトの中でもとりわけ大きな害悪ポイントが2つある。1つはエンカウント率に極端な偏りがある事で、敵と遭遇しない時はこの辺りでは敵が出ないのではないかと思うくらい出ないが、出る時は大げさではなく本当に1歩歩くごとに出る程に遭遇しまくりストレスが溜まる事この上ない
偏りがあるといえば、気のせいかもしれないが戦闘においても攻撃をミスするときは連続でミスする傾向があるので、乱数調整が全体的に雑なのだろう
もう1つはダンジョンが長過ぎる事。広過ぎるのではなく長すぎるというのがポイントである。なにしろ通路はほぼ一本道で分岐はごく少なく、しかも分岐してもその先で合流するから迷う事もないし、特にギミックもないからただただ延々と通路を進むだけになる上、前述のエンカウント率の偏りのおかげで所によっては道中で敵が出まくるという地獄のような状況になってしまうのである
他にも悪い所を挙げればきりがない程の酷いゲームであるにも関わらず、キャラゲーの常でそこそこ売れたのか東映動画は7まで続編を出し続け、どれもがクソゲーなのだから罪深い。また、「北斗の拳」は東映動画以外からも数多く出ているのだが、キャラゲーの中でも特にクソゲー率が高いという世紀末的な状況だったりする