黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

人気のバロメーター?

 言うまでも無い事だが、ジャンプの黄金期における連載陣は「DRAGONBALL」と「SLAM DUNK」の二大看板をはじめ、漫画史に残る程の人気作品が数多く溢れていた。そして、人気作品は漫画だけにとどまらず他のメディアにも活躍の場を広げるものも少なくない

 その代表的なものとしては映像化、特にTVアニメ化である。ジャンプ黄金期に掲載された事のある連載作品は全部で168あるのだが、そのうち31もの作品がTVアニメ化されているのだから改めてその凄さがわかるというものだ

 そしてもう1つ、忘れてはいけないのがゲーム化だろう。以前の「ファミコンジャンプ英雄列伝」の記事でも述べたが、ジャンプの黄金期の開始時期はファミコンの黄金期とほぼ同時期、更に両者は少年男子をターゲットとするホビーカルチャーという共通点もあって多くの作品がファミコンソフトとして発売され、ジャンプの黄金期が終焉した後も、そしてゲーム機もファミコンから、スーパーファミコン、PSを経て現在のSwitchへと移り変わっても未だにジャンプ作品はゲーム化され続けているのだ

 

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 ところで、TVアニメ化もゲーム化も人気作品の証と言えるのだが、両者には決定的な違いがある。それは、TVアニメ化はたまにリメイクや続編が制作される事はあるが基本的に1作品につき1度きりなのに対し、ゲーム化は何度も出来るという事である

 そこで今回は作品がゲーム化された回数について語っておきたいと思う。尚、数字についてはWikipediaを参考にし、LSIゲームなどの非TVゲームやソシャゲ、そして「ファミコンジャンプ英雄列伝」のように複数の作品のキャラが登場するクロスオーバー作品は除外するものとする

 

 ではまずベスト3を見て頂こう

 

 1位 DRGONBALL  79

 

 2位 北斗の拳     30

 

 3位 幽☆遊☆白書   19

 

 1位が「DRAGONBALL」という事はおそらく大方の予想通りだろう。86年に初のゲーム化がされて以来今年まで毎年のようにゲーム化され続け、対応機種もファミコンスーパーファミコン、PS、PS2ゲームボーイ、DS、Wii、Switchといったメジャーゲーム機から、スーパーカセットビジョンプレイディア、ワンダスワンカラーといったマイナーゲーム機、さらにアーケードゲーム(ゲームセンターとかにあるヤツである)までカバーしているのは流石の一言である。が、それにしても単行本が全42巻に対してゲーム化された回数が79というのは多すぎだろう

 2位は「北斗の拳」。1位に比べるとかなり少なく感じられるかもしれないが、それでも単行本(全27巻)より出ているのだからこちらも充分過ぎる程だ。ただ、詳細を見てみると厳密には作品のゲーム化ではなく、作品をモチーフにしたパチスロをゲーム化したものも多数混じっていたりする。そして3位は「幽☆遊☆白書」。こちらはちょうど単行本と同じ数である

 ところで、ランキングを見てみると、ベスト3に入って然るべきあの作品が入っていないと思う方もいるのではないだろうか? そう、先にも触れたが「DRAGONBALL」と共に二大看板として黄金期ジャンプを牽引した「SLAM DUNK」である

 勿論「SLAM DUNK」もゲーム化されていて、その数は5位タイの9つと決して少なくはない。とはいえ、二大看板の片割れである「DRAGONBALL」と比べて圧倒的な差があり、連載中は人気で上回っていた「幽☆遊☆白書」の半分以下というのはどういう事なのだろうか

 それはジャンルの差が大きかったのだろう。言うまでもなく「SLAM DUNK」はバスケットボール漫画であるが、そういった漫画をゲーム化する場合、キャラゲーであると同時にバスケットボールゲームとしての側面もあるので、普通のバスケットボールゲームとプレイ感が一緒になりがちで差別化が難しく、同じ理由で続編も作りにくい。そしてそもそも「SLAM DUNK」は人気でバスケットボール自体も人気が上昇中であったがバスケットボールゲームはあまり人気が無いという身も蓋もない事情もあるのを考慮すればむしろこれでも多いと言えるのではないだろうか

 では、人気のあるスポーツを題材にした漫画なら数多くゲーム化されているのかというとそうでもなかったりする。例えば野球漫画はジャンプではあまり奮わないものの、他誌も含めれば一番メジャーなスポーツ漫画のジャンルでいくつもヒット作を出しているのにも関わらず、ゲーム化された例はあまり多くない。また、その多くない中には「タッチ」や「バツ&テリー」などゲーム化はされたものの野球ゲームでは無かった(しかもクソゲーだった)というケースもあるので、やはりスポーツ漫画全般がゲーム化に向いていないと言える

 逆にゲーム化に向いている漫画ジャンルはあるのだろうか。それはもう一度ランキングを見ればわかる。そう、バトル漫画である。因みに4位以下を見ても「キン肉マン」、「聖闘士聖矢」、「ジョジョの奇妙な冒険」、そして「忍空」とベスト10に7つもバトル漫画がランク入りしている

 そもそも論としてバトル漫画はジャンプを代表する漫画であるし、ランク入りした作品は黄金期ジャンプでも屈指の人気作品揃いではある。のだが、その中にしれっと「忍空」まで混じっているあたりにゲームとの親和性の高さがうかがえるというものだ

 特にアクションゲームとの親和性が高く80年代にはAボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃みたいなクラシックなゲームが


 90年代には格闘ゲーム

 そして21世紀に入ってからはポリゴンモデルを使った3Dアクションといった各時代のアクションゲームでバトル漫画がゲーム化されている。中でも格闘ゲームとの相性の高さは別格で、内容的には他作品と大差なくても原作のキャラが原作と同じ技を出すだけで充分に差別化が図れるし、なんなら新キャラが出た以外は何も変わらないようなゲームでも続編として発売できるのだから作る側としては楽だろう。加えて、バトルはアクションゲームだけじゃなくRPGなど他のジャンルでも表現可能なのだから同じバトル漫画が何度も何度もゲーム化されるのも無理のない話だ…まあ、親和性が高いからと言って面白いゲームが出来るかどうかが別問題だが

 

 と、長くなってきたので今回はここまでにして続きは次回に