今回は前回の記事で少し触れた電子書籍の合本の紹介の兼ねてこちらの作品を紹介したい
BOMBER GIRL(94年7号~17号)
合本とは何かという事を改めて説明すると、複数の単行本を1つにまとめた電子書籍である。内容に関しては通常の電子書籍と読み比べてみたところ、そのまま詰め込んだだけという感じで違いは見られなかったのだが、特性上総ページ数が多くなってしまうので只でさえ電子書籍ではやり辛い飛ばし読みや、読みたいところを探して読むという行為が更にやり辛くなるという欠点がある。また、合本は単行本が複数出ている作品、作者の作品を例に挙げると「超機動暴発蹴球野郎リベロの武田」(以下「リベロの武田」)の1、2巻を1つにまとめられたりしているケースが多いのだが、上のように作者が同じだけで全く関係の無い作品を雑にまとめただけというケースもあり、興味ない作品のしかも最終巻だけあっても扱いに困ってしまう
一方利点はというと、元々がデータなのでまとめたところで場所をとらなくなるという事もないし、価格も通常の電子書籍をバラで買う場合と大差ないので、セールになった時に得だという以外に利点が感じられない。なので、セールで買う以外はお薦め出来ないというのが正直な意見だ。実際私も前回の記事でセールしていたので「やるっきゃ騎士」の合本を買ってしまったと述べたが、逆に言えばセールじゃなければ買っていなかったし、これからも通常の電子書籍が配信されていないとかじゃない限りはセール以外で買う事はないであろう。…まあ、セールが多いので結構買う事になるのだが
さておき、いつものように作品紹介の前に作者の経歴紹介を
作者は81年に「迷勝負⁉」で赤塚賞佳作受賞。86年に「THE MOMOTAROH 村上伸一君の場合」で再び赤塚賞佳作受賞、翌87年増刊ウインタースペシャルに掲載されてデビュー。同年スプリングスペシャルに「THE MOMOTAROH」が掲載されると好評を博し同タイトルで47号から本誌初登場にして連載デビューを飾る。「THE MOMOTAROH」が二年ほど続いた後、91年13号から「リベロの武田」の連載を開始し、こちらも二年近く連載が続く事に。そして「リベロの武田」の終了後、93年スプリングスペシャルに本作品のオリジナルとなる「BOMBER GIRL」の掲載を経て翌94年7号から本作品の連載が開始されたのであった
そんな本作品は、治安が悪化して世界屈指の犯罪都市となった201X年の東京を舞台に、賞金稼ぎの羅生門エミーとテロ集団のメガリスとの戦いを描いた近未来アクション漫画で、主人公のエミーの性格は子供好きという一面があってもフォローのしようがないクソ女で、見た目は作者の作品によくいる露出度の高い服を着たお色気担当キャラのクソ女だが、賞金稼ぎとしては一流で、カスタムトンファーの夜叉丸を武器にテロリストどもを狩りまくりつつ、助けた相手に高額な報酬を巻き上げるクソ女である
と、クソ女を連呼してしまったが、実際私が本作品で憶えているのはそれだけなので仕方がない。とはいえ、主人公だから決めるところは決めるし、作品自体ギャグテイストが強めなのでそこまで嫌悪感がある訳ではないのだが、そもそも女性主人公という時点でジャンプでは不利である。また、ギャグテイストが強めなせいでテロリストが闊歩するディストピアがなのに全く悲壮感がない世界になってしまっているのも中途半端に感じられる。おまけに作者のヒットした作品は前述の「THE MOMOTAROH」、「リベロの武田」、そして本作品の後に連載された「陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす‼」と現代を舞台にしたスポーツ及び格闘技もので、近未来を舞台にしたフィクション色の強い作品が向いているのかというと、本作品を見る限り否と言わざるを得ない出来であり、作者史上最短の11話で終了してしまったのも無理のない話である
そんな本作品であったが、思い入れが強かったのか作者がジャンプを離れた後の2000年に続編となる「BOMBER GIRL CRUSH」がヤングコミックで連載(不定期)が開始される。が、掲載誌が途中でヤングキングに変わったと思ったらまたヤングコミックに戻るなど迷走して単行本は全3巻どまり、更に続編となる「BOMBER GIRL XXX」が04年からヤングキングで連載が開始されるがこちらも単行本が全3巻どまりと、作者の思い入れに反して最後まで結果が出ないままであった