黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

紙か 電子か それが問題だ

 当ブログは主に黄金期ジャンプの短期終了作品を扱っている訳だが、今になってそれを読もうとする場合は2つの方法が考えられる。1つは当時出版されて今は絶版となっている単行本を中古で入手する事。そしてもう1つは、現在配信されている電子書籍版を利用する事である

中には復刻版が新品で入手可能な作品もあるが

 では、中古の単行本、所謂紙の本と電子書籍ではどちらの方がいいのだろうか?

 まあ、最初に結論を出しておくと人によるとしか言いようがないのだが、どちらを選ぶかを判断する参考になればと思い、今回は私自身が両者を利用して感じた利点と欠点を挙げる事にする

 と、その前にまず紙の本と電子書籍で中身に差異があるのかどうかを「メタルK」を読み比べて検証したい。なんで「メタルK」なのかというと、表現の規制によって改変されている所が無いか確かめる為にエロとグロが多めの作品を選んだ、という訳ではなく、私は、というか大概の人はそうだと思うが、基本的に1つの作品につき紙の本か電子書籍かどちらかがあればいいというスタンスなので、両方所持して読み比べる事が出来る作品がこれくらいしかないからである

 さておき、両者を読み比べた結果、電子書籍版は扉絵や目次、余白に描かれたイラストなどがカットされているものの、漫画自体は乳首が修正される事も無く全く同じであった。というか、カットされているページがあるのにページ表記までが同じであるから、おそらく単行本をスキャンして電子書籍化したのだと思われる。ただ、これはあくまで「メタルK」の場合であって、全ての電子書籍がそうだとは限らないと断っておく

 ちなみに紙の本と比べる事は出来ないが他の作品の電子書籍も一通りチェックしてみたところ、読んでいて不自然な部分は感じられなかったから仮に改変があったとしてもそんなに問題の無いレベルと言っていいだろう。ただ、チェックした範囲では全ての作品でカバー折り返しの作者あいさつやカバー下の表紙デザインがカットされているし、作品によって「メタルK」同様に扉絵や目次、イラスト等がカットされていたりいなかったりするので、そういう部分を気にする人は注意が必要である

電子書籍ではこれが見れないのは残念だが

 それを踏まえて両者の良い点と悪い点を挙げていこう

 まず、紙の本の良い点は紙の本だという事である。それってどういう事だと思う方もいるかもしれないが、年齢が上に行けば行くほど電子書籍に対する忌避感が強い人は多くなるし、紙の手触りが心地良いとか紙の本じゃないと読んだ気がしないなんて人も一定数いるのだ、というか私自身も割とそういう気質だったりする。また、上でも触れたが、表紙カバー折り返しの作者あいさつとカバー下の表紙デザインは紙の本、中でもオリジナルのジャンプコミックス版のみで後から出版された文庫版や豪華版などでは見る事が出来ない事も留意すべき点である

  逆に悪い点はというと、既に絶版している為復刻でもしていない限りもはや新品で入手する事は不可能である事、そして絶版してからかなりの時間が経っているので現存している物は状態が酷く劣化しているケースが多いという事である。実際私も商品を画像で確認出来ないマケプレで買った本が届いてみたら文字見えない程背表紙が灼けていたり、ヤフオクで画像を確認して買った本がタバコ臭かったりとガッカリした事が少なくない。それでも私はそこまで状態にこだわる方じゃないのでダメージは少ないが、状態にこだわる人や潔癖な人にとっては我慢できないだろう。また、絶版してからかなりの時間が経っている影響は現存数の面でも影響があり、例えば先週紹介した「ウルフにKISS」などは今買おうとすると2冊セットで3000円とか4000円とかプレミアがついているし、中にはプレミアどころが売りに出されている事すら稀な作品もあり、入手性が良いとは言えない。まあ、多くの作品は安価で入手する事が可能ではあるのだが

 一方、電子書籍の良い点(といっても私は電子書籍は全てkindleにまとめているのでkindle以外はわからないのだが)は、データなので劣化する事はないし、品切れも無いので入手性も良く、値段も上記の「ウルフにKISS」は今現在1巻が446円、2巻が495円と当時の紙の本より若干高めではあるがリーズナブルである。しかも、セールになると更に安くなり100円くらい、ものによっては10円くらいにまで価格破壊したりする。また、通常の電子書籍の他に2、3冊ぶんを1冊にまとめた合本というものもあり、通常は値段の方も2、3冊ぶんなのだが、こちらもセールになると同じくらいまで安くなるでかなりお得である。実はこれを書いている最中も「やるっきゃ騎士」の合本が全5巻中3巻までが1冊11円だったので思わず購入してしまった

 ただ、セールの頻度や割引率は販売元がどこかによって差異があり、販売元がamazonのものは頻度も割引率も高いだけじゃなく、kindleunlimited会員ならタダでいくらでも読めるのに対して発売元が集英社のものはそんなに安くならないので期待してはいけない

 逆に電子書籍の欠点は、配信元がサービスを停止した場合に読み続ける事が出来るか不透明なところ、そして最大の欠点は、現状では全ての本が電子書籍化されている訳ではないので、電子書籍だけで黄金期ジャンプの短期終了作品をコンプ出来ない事である

最近紹介した作品だとコレとかも電子書籍化されていない

 まあ、昔の作品の電子書籍化については現在進行形で進んでいるのでいつかは電子書籍でコンプ出来る可能性もないではない。が、現在黒岩よしひろ作品の殆どが電子書籍化されているのに「不思議ハンター」だけが電子書籍化されていない(不思議ハンターS」のほうはされているのでおそらく原作者の飯塚幸弘と連絡がつかないとかで許可が取れていないのだろう)のを見ると期待できなそうである。井上雄彦などは現状では電子書籍化の許可を出す気がないみたいだし

同じく飯塚幸弘原作のこちらも電子書籍化されていない


 以上の事を踏まえて各人が自分に向いた方を選ぶのが良いだろう。因みにそういう自分は両者を併用して、紙の本などはジャンプコミックス版や文庫版、豪華版などこだわりなく集めているが、そこまで高価じゃないのなら紙の本を優先して購入するという感じである