黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

夢のコラボは悪夢ばかり

 今まで何度も繰り返しているが、当ブログで定義するジャンプの黄金期の始まりは「DRAGON BALL」の連載が開始された84年11月20日である

 他方、ジャンプが黄金期を迎えたのとほぼ同時代に黄金期を迎え、知名度においてもジャンプと遜色のない少年向けホビーカルチャーが存在した

 それは通称ファミコンこと「ファミリーコンピュータ」である

 83年7月15日に任天堂から発売された家庭用TVゲーム機であるファミコンは、同時代の競合他機を凌駕する高性能によって発売当初から市場を席捲、更に85年9月13日に「スーパーマリオブラザーズ」が発売されるとその流れは加速して社会現象となり、「スーパーマリオブラザーズ」の総売り上げは国内だけで約680万本、本体に至っては1900万台を超えるという数字を叩き出している

 そして、同時代に同じく少年男子をターゲットとするホビーカルチャーが2つ存在するのならば両者が手を組むのは必定であり、85年11月8日に「キン肉マン マッスルタッグマッチ」が発売されたのを皮切りに、ジャンプで連載している作品を原作としたファミコンソフトが次々と発売される事となった

 そんなジャンプ原作のファミコンソフトを多数収録した商品が、18年7月7日に発売された「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ創刊50周年バージョン」(通称ファミコンジャンプミニ)であり、その懐かしさから購入した方もいるのではないだろうか

サイズは単行本と並べるとこんな感じ

 

 ジャンプの人気漫画と当世人気のファミコンの組み合わせは言わば夢のコラボレーションであり、自分の好きな漫画がファミコンソフトとして発売されると知って期待に胸躍らせ、発売日を心待ちにした者も多かったであろう

 だが、実際に発売されるとその希望がバラバラに打ち砕かれてしまった者もまた多かった。というのも、発売されたゲームソフトはお世辞にも出来が良いとは言えない、ハッキリ言えば出来の悪いクソゲーばかりだったからである

 これには幾つか理由がある。まず1つは、ファミコンの性能が当時の家庭用TVゲーム機としては群を抜いていたものの絶対的な能力は低かった事。だからこそファミコンでゲームを作るにはそれをカバーする為の技術、経験が必要になるのだが、ファミコンブームが過熱した為に技術、経験どころかそれまでTVゲーム業界とは縁の無かった企業までが挙って参入してきた事

 と、ここまでは全てのファミコンソフトに言えることであり、それで生まれたクソゲーは淘汰され、クソゲーを生んだメーカーも次々と姿を消していったものである。だが、ジャンプやその他の漫画、アニメなどをを原作としたゲーム、所謂キャラゲークソゲーであっても原作の人気故にある程度売れてしまうので淘汰されず、おかげでファミコンから何度も世代交代を繰り返した現代の家庭用テレビゲーム市場においても発売され続け、被害者を増やし続けている。こういったゲーム達は原作の人気に寄生して肥え太る害悪以外の何物でもない。それに比べて出来が悪くとも不人気だろうと己の持てる物のみで勝負し、敗れ去った短期終了作品たちの潔さよ

 

 そんな作品の中でも究極のコラボにして究極の悪夢と言える作品がこちらだ

 そう、「ファミコンジャンプ 英雄列伝」である

 週刊少年ジャンプ創刊二十周年記念と銘打たれた本作品は、味方には「DRAGON BALL」の孫悟空や「聖闘士星矢」の聖矢に加えて「男一匹ガキ大将」の戸川万吉や「ドーベルマン刑事」の加納錠治、敵には「魁‼男塾」の大豪院邪鬼に「Dr.スランプ」のDr.マシリトなど、当時連載中の作品だけでなくかつて連載されていた人気作品のキャラまでも数多く登場する正に夢のオールスターゲームで、88年29号で制作が発表されるやいなや読者の期待が高まり、翌89年2月25日に発売されるとソフトの売り上げが100万本を超える大ヒットを記録したのであった。因みに当時のジャンプの発行部数は約500万であるから、購読者の5人に1人は本作品を購入した計算である

 しかし、待ちに待った夢のソフトが発売された歓喜の声は、程なくして絶望の悲鳴に変わってしまう。私などは既にキャラゲークソゲーばかり、特にBAN〇AIは要注意だという事を学んでいたので購入せずに済んだのだが、購入してしまった友人にソフトを借りてプレイし、予想通りの出来の悪さに同情したものである

BA〇DAIと東〇動画は要注意だ

 そんな本作品は、ジャンプを読んでいる最中にその中に吸い込まれた主人公が、悪役たちの怨念によって乗っ取られようとしているジャンプワールドを救うためにジャンプ作品主人公を探しつつ戦うアクションRPGである

 

 本作品のどこがクソなのかを1つずつ説明していくと終わりが無いし、際限なく悪口を書き連ねるのは私も読む方もいい気がしないので一番クソだと思う所だけ挙げさせて貰う。それはプレイ中に最も時間を割く事になる敵との戦闘が非常につまらない事である

 

 本作品の戦闘は、フィールド上にいる敵キャラに近づくと戦闘が始まる所謂シンボルエンカウント式のアクション戦闘だが、まず問題なのはせっかく複数の仲間とパーティを組んでいるのに戦闘に参加するキャラは先頭にいる1キャラだけだという事だ

これが戦闘に入ると

こうなる

 

 加えて戦闘で出来る事はどのキャラもAボタンで近接攻撃、Bボタンで飛び道具という2つだけである。途中でキャラが強くなって新たな技を覚えるなどという事は無い。16人も仲間キャラがいるのに1人も覚えないのだ

 更にこの2つの攻撃は各キャラで見た目や威力に多少違いはあるものの、リーチ、攻撃範囲ともに一緒である。悟空は如意棒を持ってるからリーチが長いとか、星矢はペガサス流星拳で連打がきくとか、そういう原作キャラの特徴を生かした攻撃など一切無い。これは敵キャラも同じであるので、ゲームの序盤から終盤まで変わり映えの無い戦闘を繰り返さなければならないという悪夢のようなゲームとなっている

右側がケンシロウの近接、遠距離攻撃、左側が悟空のそれである

  と、そんな本作品であるが今となっては割と好意的に語られる事も少なくない。だが、それは発売から三十年以上も経って苦い記憶が風化してしまった事と、昔のゲーム、特にキャラゲーなんてこんなものだと評価のハードルが下がっただけである。ハッキリ言おう、こいつはくせえッー!、ゲロ以下のにおいがプンプンするクソゲーだぜッーーーー‼と

スピードワゴンも脇役で登場するぞ