黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

お待たせしました凄い奴

 今回紹介するのはジャンプ黄金期後半において低年齢層のみならず幅広い層から支持されたあの作品を基にしたゲームである

 そう、岡野剛真倉翔によって93年38号から連載が開始されて約六年も連載が続き、96年にはTVアニメ化もされた「地獄先生ぬ~べ~」だ

 同作品は連載終了後にも続編となる「地獄先生ぬ~べ~NEO」、「地獄先生ぬ~べ~S」にスピンオフ作品である「霊媒師いずな」が描かれただけでなく、2014年にTVドラマとしてリメイクされた(内容については語るまい…)事なども知っている者は多いであろう。その一方で、本ソフトは97年5月という作品の人気絶頂期でTVアニメも放送中だった時に発売されたにも関わらず憶えている者はあまり多くないのではないか。かくいう私も原作は割と好きで、かつ、ゲーム好きなのにも関わらず本ソフトの事はすっかり忘れていた。おそらく皆もそうだと思うがこの頃には既にキャラゲークソゲーという認識が定着していた為に興味を示さなかったのだろう。そう考えるとバンダイの罪は重い

 尚まったくの余談であるが、私は本ソフトを中古の通販で購入したのだが、商品状態の説明が「良い」となっていたにも関わらず、説明書が破れていてセロテープで補修されているという酷い有様であった。許すまじマ〇プレ

「可」でもこんなの見た事ないぞ

 さておき、そんな本ソフトは童守小学校5年3組に転校してきた児童が主人公となり、担任のぬ~べ~こと鵺野鳴介をはじめ、広や郷子などお馴染みのキャラたちと交流しながら一年間を過ごすという内容で、ジャンル的にはアドベンチャーゲーム若しくはシミュレーションゲームに分類されるだろうか

名前は自分でつけられるが性別は男子固定だ

 プレイの大まかな流れとしては、平日及び土曜の午前は学校で出会うキャラとの会話でどう答えるかを選択肢から選び、土曜の午後及び日曜は童守町を散策しながら行先で出会ったキャラとの会話でやはり選択肢を選んで好感度を上げつつ、たまに妖怪絡みのエピソードが入るという感じで、システムとしてはこの時代に流行った所謂ギャルゲーに近い

 

 また、妖怪絡みのエピソードは影愚痴や口裂け女など原作からピックアップしたエピソードを交えつつ、一年の全体的な流れとしてゲームオリジナルのエピソードが進行するという感じだ。このようにオリジナルエピソードを挿入しているキャラゲーは他にも割とあり、中にはシナリオライターが原作をあまり理解していないのか割と違和感のあるエピソードになってしまっているのもあるのだが、本ソフトの場合は原作同様に真倉翔が手掛けているので違和感がないし、勿論質の点でも保証が出来る

 ただ、エピソードの質は良いのだが、ゲームとしての質はどうかというと、かなりいい加減に作ってあると言わざるを得ない

 まず問題なのはプレイが非常に作業的だという事だ。上でも挙げたが本ソフトはシステムとしてはギャルゲーに近く、夏休みと冬休みとバレンタイン、そしてエンディングでは一番好感度の高いキャラのスペシャルグラフィックが見られるので好きなキャラの好感度を優先的に上げたいところである。…が、休日は会いたいキャラの家に行く事が出来る(会えるとは限らないが)ものの、平日はランダムで出て来るキャラに対して答えるだけだから好感度を上げたいキャラが出て来るのを祈りながらボタンを押しているだけに等しい。そして言うまでもないが休日よりも平日の方が圧倒的に多いので、プレイ時間の多くは平日をプレイするのに割かれてしまうのだ。加えて平日も休日も会話パートはほぼ共通な上、バリエーションが非常に少ないので同じ会話を何度もさせられるのも作業感を増長させている

何回この会話を見せられた事か

 では妖怪絡みのエピソードに入ると作業的ではなくなるかというとそういう事もなく、所々に選択肢が出るがどれを選んでも大筋に変化がなくやはりほぼ読むだけ。中には妖怪と戦う事になり、RPGのような画面で戦闘が繰り広げたりするのだが、戦うのは主人公ではなくぬ~べ~なので基本的には見守るだけである。一応ここでもたまに選択肢が出てそれ次第で妖怪の気を引いたり、普段ゆきめや玉藻らと仲良くしているなら助っ人に現れたりと有利にする事は出来るのだが、実際のところそんな事をしようがしまいがぬ~べ~が負ける事はない(少なくとも私のプレイでは一度も無かった)ので緊迫感が無いし、それにも関わらずぬ~べ~も妖怪もやたらと攻撃を避けるから戦闘が無駄に長引いてただただ退屈なだけである。ぬ~べ~と妖怪の対決シーンは原作では見せ場である筈なのに、そこが一番つまらないというのは一体どういう事か

画像だけだと面白そうなのだが…

 他にもアニメに合わせての発売なのにOP曲の「バリバリ最強No.1」が聞けない、声優もアニメ版と一緒なのに殆ど喋らない、一度見たイベントやCGを閲覧できるギャラリーモードが無いなど至らない点が多く制作陣のやる気の無さがうかがえる

エンディング画面でゲームが止まってタイトル画面に戻らないのも地味に酷い

 本ソフトはクソゲーなのかと聞かれたら正直否定するのは難しい。ならば、やる価値はないかというとそんな事は無いと断言できる。なぜなら本ソフトは漫画やアニメの世界の住人になって原作でお馴染みのキャラと仲良く交流するというファンの多くが望んでいるであろう事を出来るという他にない売りのおかげで数多くの粗を埋めてくれるからである。そういう意味では良くも悪くもファン向けの典型的なキャラゲーであるので、原作が好きならお勧めできる一品だ