黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

データで見る黄金期ジャンプ2

 前回に引き続き黄金期ジャンプのいろいろなデータを見ていきたい

 まずは黄金期間中のジャンプで掲載順が3番目だった事が一番多い作品である

 なんで3番目なんだ?と疑問に思う方もいるかもしれないが、説明の前にまずベスト10を見て貰おう

 

 1位 DRAGONBALL    192回

 2位 SLAM DUNK     84回

 3位 北斗の拳        63回

 4位 ろくでなしBLUES     39回

 5位 聖闘士星矢       35回

 6位 キン肉マン       21回

 7位 魁!男塾           15回

 8位 るろうに剣心          9回

    みどりのマキバオー

10位 キャプテン翼          8回

 

 如何であろう。1位が「DRAGONBALL」、2位が「SLAM DUNK」、3位が「北斗の拳」とジャンプの歴代看板作品が並び、前回挙げた巻頭を飾った回数の多い作品ベスト10では「SLAM DUNK」と並んで同率の2位だった「ダイの大冒険」(5回)と「こち亀」(2回)がランクから外れてしまっている。どちらかというとこちらの方が人気を反映していると感じないだろうか

 何故3番目に人気作品が配置される事が多いのかというと、巻頭は確実にカラーページがあり、2番目もカラーページがある事が多い為に毎回同じ作者にやらせると負担が大きくなるので、通常の原稿では一番前に来る3番目こそが実質的なトップと言えるのである

 ただし、中には2番目の作品にカラーページが無かったり、編集部が推したい作品が挿入されたりして掲載順に揺れがある号もあるので、全ての号が3番手=トップと言える訳ではない。が、上のランキングを見れば精度はかなりのものだと言えるだろう

 

 しかし改めて見てみると「DRAGONBALL」の突出ぶりが物凄い。黄金期間中に発売された延べ566号のジャンプのうち実に3分の1を超える号で3番手を張っているのだからまさにジャンプの象徴である

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トップ3だけで全体の6割という偏りぶり

 また、4位以下に目を移すと意外に、と言っては失礼だが「ろくでなしBLUES」の順位の高さが目につく。勿論人気作品の1つだったという事は否定しないが、ランクインした作品の中では唯一TVアニメ化していない(劇場版アニメはあったが)し、知名度もおそらく下の方であろう

 それなのに何故4位なのかというと、連載時期が良かったのだと言える。「ろくでなしBLUES」の連載が開始された時期は「北斗の拳」が終了間際であり、編集部的にはそれに替わる新たな看板を求めていたという時期だったので白羽の矢が立てられのだろう

 無論、それも作品に魅力があったからなのは言うまでもないが、「ろくでなしBLUES」が順調に地位を固めようとしていた頃に「SLAM DUNK」が登場し、そちらが新たな看板となってしまう。そういう事情の為「ろくでなしBLUES」が3番目に掲載された数は「SLAM DUNK」登場までの二年ちょっとの間までで全体の3分の2を占め、それ以降の五年半余りでは十数回しかないというアンバランスさとなっている。まあ、それ以後の回数だけでもベスト10に入る事の出来る数なのだから凄いと言えるのだが

 反対に連載時期が悪かったのは「幽遊白書」だろう。「幽遊白書」の連載が開始された時期は「SLAM DUNK」の連載が開始されてから二カ月程度しか経っておらず、そして「SLAM DUNK」よりも先に連載が終了してしまったので、常に「SLAM DUNK」、そして「DRAGONBALL」の後塵を拝する結果となり、3番目に掲載された回数は6回と、その人気、知名度に比べて少ない数字となっている。まあ、時期が悪かったと言えるのはあくまでこのデータに限った話であり、全体的な話で言うなら黄金期真っ只中に連載が開始された「幽遊白書」は時期が良かったと言えるのだが

 

 そして、当ブログの主題である短期終了作品に関するデータも見てみよう

 短期終了作品がジャンプのトップポジションたる3番目に掲載される事なんてないだろう。そう考えるのが普通かもしれない。実際、巻頭なら殆どの作品が少なくとも一度は経験できるので159もの作品が該当しているのに対し、3番目を飾った作品は僅かに55と、約3分の2が一度も経験する事が無く連載を終えているのだ

 とはいえ、短期終了作品の中にも3番手を飾った作品が無いわけではない。なんと16もの作品が該当しており、うち5作品は複数回3番手を経験しているのである

 では、その5作品のランキングを見ていただこう

 

 1位 翔の伝説     4回

 2位 ばくだん     2回

    CYBERブルー

    SHADOWLADY

    レベルE

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見事1位に輝いたのは以前紹介したコレである

 「翔の伝説」の4回という数字は「こち亀」の倍で、全体でも14位タイに相当し、同順位で並ぶ作品は「BΦY」、「すごいよマサルさん」、「地獄先生ぬ~べ~」、「ジャングルの王者ターちゃん」といずれもアニメ化もされた人気作品ばかりである。これはつまり、まかり間違えれば「翔の伝説」もアニメ化を果たし、「こち亀」の倍の80年も連載が続いた可能性もあった訳だと言える

 …いや、言えないのは分かっている。実際のところランキングに上がった短期終了作品は、人気があったからではなく編集部が推したいから3番目に配置されたパターンなのだろう

 

 ところで、3番手を飾る作品は別に連載作品でなければならない訳では無い。実は僅か3作品ではあるが、読切作品が飾った例もあったりするのだ

 せっかくなのでその3作品も見てみよう

 

 まるまった亀

 快心少年エム

 マイケルジョーダン物語

 

 「まるまった亀」は第4回GAGキングのキング受賞作品なのだが、作者が本名と住所を書き忘れた為に連絡不能となってしまい、名乗り出て貰う為にペンネームの一部を伏せて掲載されたといういわく付きの作品だ。因みにそのうっかり者は後に「王様はロバ」を連載する事になるなにわ小吉である

 そして「快心少年エム」は「かおす寒鰤屋」を紹介した際に触れたジャンプ新人海賊杯の第1回にエントリーした作品の1つで、残念ながら3位以内に入る事が出来なかった作品だ

 最後の「マイケルジョーダン物語」は当時のスーパースターであったプロバスケットボールプレーヤー、マイケルジョーダンの伝記的作品で、作画を担当したのはあの井上雄彦だ。この作品は93年45号から4号連続で掲載されたが、そのうち2回も3番目に掲載されるという快挙を成し遂げている。これは「こち亀」と同じ回数であり、まかり間違えれば「マイケルジョーダン物語」も「こち亀」と同じく40年も連載が続いた可能性が…