黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

HUNTER×HUNTER連載再開記念

 ご存じの方も多いと思うが昨日発売されたジャンプ47号で実に三年十一カ月ぶりに冨樫義博の「HUNTER×HUNTER」の連載が再開された。どうせまた三カ月程度で休載だろうと冷ややかな思いを抱いているのは私だけでは無いだろうが、それでも新作を読めるのはうれしい事である。そこで今回は連載再開を祝して冨樫義博の短期終了作品を紹介しよう…と思ったのだが、生憎当ブログでは既に「てんで性悪キューピッド」も「レベルE」も既に紹介してしまっているので代わりにこれを紹介したい

 

 幽☆遊☆白書 魔強統一戦

 94年9月30日発売

 

 そう、「HUNTER×HUNTER」と並ぶ作者の代表作であり、ジャンプの黄金期においては「DRAGONBALL」、「SLAM DUNK」の二大看板に次ぐ人気作品の「幽☆遊☆白書」を題材にしたゲームである

 因みに同作品を題材にしたゲームは他にも幾つかあるのだが、その中で本作品をチョイスした理由は2つある。まず1つはキャラゲーの中ではかなり出来が良い事。もう1つはそれでありながら売り上げは全くと言っていいほど奮わなかったという当ブログにうってつけの作品だからである

 本作品のジャンルは対戦格闘ゲームであり、プレイヤーが使用出来るキャラは主人公の浦飯幽助を始め桑原、鞍馬、飛影、幻海、酎、陣、戸愚呂兄、弟、樹、仙水の11人となっていて、十字キーで移動及びジャンプとしゃがみ動作、2つのボタンで弱と強の通常攻撃、更にコマンドを入力する事で幽助なら霊丸、鞍馬ならローズウィップなど原作でお馴染みの必殺技が出せるという格ゲーではオーソドックスな操作方法で、他にも二段ジャンプやダッシュ、特定の条件下でのみ出せる超必殺技など、色々な格ゲーから様々なシステムを取り入れている

 開発を担当したトレジャーは元々コナミで「魂斗羅」などを制作していた人たちが独立した会社であり、アクションゲーム作りには定評がある。その為、格ゲーを制作するのは本作品が初めてではあるものの出来は上々で、同時期に同じく「幽☆遊☆白書」を題材にした格ゲーが他にも発売されていたのだが、明らかにこちらの方がクオリティが高くなっている

 そして本作品の一番の特徴は、1対1での対戦が当たり前である格ゲーのジャンルに最大4人までの多人数プレイを持ち込んだ事である

 今では多人数プレイの格ゲーといえば「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズ(スマブラを格ゲーに入れるかは異議のある人もいるが)が有名であるが、逆に言えばスマブラが有名なのにもかかわらず追随者が殆どいないくらいにゲームとして成立させるのが難しいシステムである。それを本作品はスマブラの第1作が出る四年以上も前に実現させているのだからその技術もさることながら先見の明にも感服させられる

 …といいつつ、1つ白状しなければならない事がある。実は私が本作品を入手したのは発売から十年近く経ってからであり、しかもマルチタップを持っていない為に本作品最大の売りである4人乱闘をプレイした事が無いのだ。勿論、元々の出来がいいだけに4人乱闘じゃなくとも充分楽しいのではあるが、スマブラも無かった当時に4人乱闘をプレイ出来なかったのは残念であり、プレイできた人が羨ましくてしょうがない

 

 それ程の良作なのにも関わらず、本作品は全くと言っていいほど売れなかった。それこそ前回紹介した「ファミコンジャンプⅡ最強の7人」にすら及ばない程に

 何故か? 本作品をプレイ出来るゲーム機がそもそも売れていなかったからである。本作品の対応ゲーム機はセガメガドライブで、その普及台数はWikipediaによると日本では358万台となっている。この数字を見て、結構売れているじゃないかとお思いの方もいるかもしれないが、当時メガドライブと競合していたゲーム機のスーパーファミコンが1717万台であるからその五分の一程度しかなく、単純な理屈で言えばスーファミで出したら100万本は売れるソフトでもメガドライブで出したら20万本程度しか期待できない訳だ。更に本作品が発売された時期はメガドライブの製造元であるセガが新しいゲーム機のサターンを発売する僅か二カ月前で、セガがそちらに注力してメガドライブには半ば見切りをつけていた事から既にメガドライブ用のソフトを置かなくなっていたゲームショップもあったくらいに市場が縮小してしまっていたのだから売れないのも無理のない話である

 そんな訳で売り上げ的には奮わなかった本作品だが、数少ないながらもプレイした人々が本作品の良さを口コミで伝えた結果、皮肉にも製造終了後に評価が高まり中古市場でプレミアがつくようになってプレイしたくてもなかなか難しい状況となってしまった。その後19年になってセガが発売したメガドライブミニに収録された事によりプレイしやすくなったが、メガドライブミニもまた製造終了して価格が高騰傾向にあるので興味がある方は早めに購入する事をお勧めする