黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

メジャー作の末裔

 今回も前回、前々回に引き続き良作なのに売り上げが奮わなかったキャラゲーを紹介したい

 それはこちらの作品だ

 

 キャプテン翼

 94年9月30日発売

 

 いや、「キャプテン翼」のゲームは自分もプレイした事があるし、続編が何本も発売されているのだから売れているんじゃないのか、とお思いの方もいるだろう。それはその通りで、テクモ(現在は合併してコーエーテクモゲームス)から発売された同作品は、かつて行われた思い出のファミコンソフトというアンケートにおいて、キャラゲーの中では1番高いランキングを獲得したほどの人気作品である

 

 ファミコン版は

 

 そう、今回紹介するのは前回紹介した「幽☆遊☆白書 魔強統一戦」と同様、「キャプテン翼」のゲームの中でもメガドライブ版なのだ

 私もそうだが、ファミコン版の同作品を初めてプレイした時に衝撃を覚えた方は多かったのではないだろうか。サッカーゲームといえばちっちゃいキャラをせかせか動かすアクションゲームが常識、というかそれ以外が考えられなかった時代に操作はRPGSLGのようなコマンド方式という斬新かつ完成度の高いシステムに加え、キャラは画面に大きく表示されるだけでなく、原作でもお馴染みのドライブシュートなど必殺技を繰り出す際は派手な演出が入るというキャラゲーとしてもレベルの高い奇跡の産物であった。おかげでその第1作は開発が難航して発売が当初の予定より二年ほど遅れたにもかからず大ヒットを記録し、以後シリーズ化する事になったのである


 そんなシリーズのメガドライブ版である本作品をシリーズ第1作と比べてみよう。本来比べるべきは本作品と同じ年スーパーファミコン用ソフトとして発売された「キャプテン翼Ⅴ覇者の称号カンピオーネ」だとは思うが、プレイした人数は第1作が一番多いだろうという事と、第2作以降はストーリーが原作をなぞっているのではなくオリジナルストーリーとなってしまっている事、そしてなによりも私自身が第1作しかプレイしていないという理由からなのでご了承のほどを(第2作は所持しているファミコンジャンプミニに収録されているのだが未プレイである)

 まず目につくのはグラフィックが向上された事であろう。まあ、これは第1作から六年以上経っている上、対応ゲーム機の性能が向上しているので当然ではあるが

流石に現在の視点からすればどっちもどっちだが

 そしてストーリーについては第1作と同様に原作をなぞってはいるのだが、第1作の方が原作の中学生編とJrユース編を扱っているのに対し、本作品の方は小学生編と中学生編を扱っている。これまで無かった小学生編が追加されたのは嬉しいものの、代わりに日向や松山といったライバルキャラが加わったオールスターチームでプレイ出来るJrユース編が無くなったのは正直言うとガッカリな変更である。特にずっとキーパー森崎でいかなければならないところはゲームの難易度も上げてしまっているし

いつもの

 ただその分、キャラゲーとしてはパワーアップしている。第1作では試合以外の部分は極めて淡白だったのが本作品では試合と試合の合間に挿入される幕間劇に力が入れられており、多少アレンジが加えられているが原作で見られたようなドラマをTVアニメの声優によるボイス付きで堪能する事が出来るのだ。その点を鑑みると「キャプテン翼」のゲームとしては第1作よりも本作品の方に軍配が上がると言えよう

 だが、その為に払った代償は大きかった。当時はゲームに多くのボイスを付けるのは難しく、それを実現するには本作品もそうだがCDロムを採用するしかなかったのだが、メガドライブにはCDドライブが標準搭載されてはおらず、本作品をプレイするにはメガドライブだけじゃなくメガCDという別売りのCDユニットも購入しなければならないである。そしてただでさえ少ないメガドライブ所有者の中でメガCDまで所有しているのは約1割の38万程度とされている。これではどれだけ出来が良くても売れる訳がないではないか。そしてその為という訳でもないがテクモは版権を手放し、以後「キャプテン翼」を題材としたゲームは他のメーカーから発売される事となり、本作品はプレイした者が殆どいない知る人ぞ知るタイトルとして歴史の底に沈んでいったのであった

 …のだが、なんと先週発売されたメガドライブミニ2に収録されているのでプレイするなら今がチャンスである。私もメガCDを持っていなかったのでこれまで本作品をプレイしていなかったのだが、おかげでようやくプレイする事ができて感激である


 ただし、昨今の半導体不足であまり多く生産出来ず、追加生産も無いという事なので興味がある方は早めに購入を