黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

色は褪せども

 毎年言っているが、今から三十九年前の本日11月20日は「DRAGONBALL」の連載が開始された日であり、ジャンプの黄金期が始まった日だ。そして、言うまでもない事だがその事実は「DRAGONBALL」こそが黄金期ジャンプの象徴だという証である

 という訳で今回はその「DRAGONBALL」の関連商品を紹介したい

 

 ドラゴンボール悟空伝(89年10月27日発売)

 BANDAI

当然ファミコンジャンプミニにも収録されている

 ところで、タイトルに「3」とあるように本ソフトはファミコンで発売された「DRAGONBALL」原作のゲームとしては3本目であり、1本目である「ドラゴンボール神龍の謎」もファミコンジャンプミニに収録されている

 なのに何故こちらを紹介するのかには理由がある。それは、当ブログではクソゲーと断じたゲームについてはクリアまでプレイして本当にクソゲーなのかどうかを確かめる事を課しているのだが、「ドラゴンボール神龍の謎」は難易度がクソ高く当時でもクリア出来なかった私が色々衰えた今になってクリア出来る気がしないからである(クソゲーだと断じてないのでクリアまでプレイしません)

 なお余談であるが、「ドラゴンボール神龍の謎」をクリアしたと語る人はちょいちょい居るが、話を聞いてみると神龍を呼び出して願いをかなえてもらう=クリアだと勘違いしている例が殆どである。難易度が地獄なのはその先、特に宇宙に行ってからで、神龍を呼び出すまでだったら私でも楽に出来た。…今も出来るかは怪しいが

 さておき、本ソフトはストーリー的には多少アレンジはあるが基本的に原作を踏襲しており、ブルマと一緒にドラゴンボール集めをするところから始まり、最終的にマジュニアを倒すのが目的となる

 また、システム的にはカードを使用したすごろく&RPGと形容ような独特なもので、移動はすごろく状のマップをカードを使用して移動して止まったマスによってアイテムを貰えたり、やはりカードを使用した戦闘になったりし、更に目的地ではテキストアドベンチャーになるという欲張りなシステムになっている

 

 

 そんな訳で本ソフトで重要なのは移動と戦闘の両方で使用するカードである

 カードには左上に星の数(1~7)、真ん中に文字(拳、蹴、必、連など)、右下に漢数字(一~七)が描かれており、星の数はマップ上では進む事が出来るマスの数、戦闘では相手のカードと比べて高いほうが攻撃出来るという言わば先制値を、文字は戦闘で攻撃する際の攻撃方法を、漢数字は戦闘で攻撃を受けた際の防御力をそれぞれ表していて、例として挙げた上の画像の場合はマップ上では5マス進める事が出来て、戦闘では先制値5、攻撃する際は連続攻撃で、攻撃を受けた場合は防御力7のカードという事になる

 なので、出来る事なら戦闘で使う時に優秀なカードをキープしておきたいところだが、カードは5枚しか持てず、消費したらその都度ランダムで補充されるのでここの調整がもどかしくも楽しい部分である

 このシステムは前作の「ドラゴンボール2大魔王復活」で初採用され、その後本ソフトにも採用されただけじゃなくスーパーファミコン版の「ドラゴンボールZ超サイヤ伝説」まで同じシステムを擦りまくっていたりする。逆に言えば擦りまくれるほどに好評だったという事だろう

 だが、今になってプレイしてみると欠点も少なくない。まず、すごろくマップでは進むカードを出す際にそのカードが邪魔をして下方向が3マス先までしか見ず、4以上のカードを出したら何のマスに止まるのかわからない事である。まあ、移動中はカードが消えてその先も見えるので、止まる前に次に何を出せば何のマスに止まればいいか憶えておけば問題ないのだが、止まったマスが修行マスだったり戦闘が起きたりすれば次に使う予定のカードが消費されてしまう場合があるし、そもそも憶えなきゃいけないのが面倒だ

 そして戦闘においては、上の説明だと戦略性が高いように思えるが実際は星の数が多いほうが一方的に攻撃出来るという仕様の為、先制値が絶対正義で攻撃方法や防御力にはそこまで価値がない事である

 ならば星の数が多いカードを出しておけばいいのかというと、カードを出すタイミングが相手と同時かつ相手の手持ちカードがわからない仕様なのでせっかく星7のカードを出したのに星7のカードを被せられて無駄打ちになる事などザラな運ゲーであり、それで戦闘が長引くとどんどん手持ちのカスカードとストレスが溜まってしまう。カードを出すタイミングが相手のカードを見てからこちらがカードを出すという仕様だったら相手にギリ勝てるカードを出したり、勝てるカードが無い場合は星の少ないカードを整理したりと考えて戦闘する事が出来たのに残念だ。それではこちらに有利過ぎるというなら、せめて奇数ターンは相手が先、偶数ターンはこちらが先とかにして欲しかった

こうなるとジリ貧である

 そして最大の問題は、体力や技ポイント(必殺技を使うと消費する)を回復する、一般的なRPGでいうところの宿屋に該当する施設が無い所である

 ならばどうやって回復するかというと、すごろくマップでカプセルハウスのマスに止まってブルマから回復効果のあるアイテムカードを貰う(何が貰えるかはランダムで外れもある)か、?マスに止まって悟飯じいちゃんから回復効果のあるおたすけカードを貰う(悟飯が出るとは限らず、神経衰弱をクリアしなければならず、出るカードはランダムである)か、敵を倒した時にたまに出る回復アイテムをゲットするかで、どれにしてもやはり戦闘と同じく運ゲーである。特に技ポイントの方は回復が難しく、本来は喜ばしい筈の星の数が多い必殺技カードが雑魚戦では無駄に技ポイントを消費したくないので邪魔に感じる場面も。ついでにいえばアイテムカードやおたすけカードは同じカードを複数枚持てるのだが、現在持っているカードの種類は確認出来ても何のカードを何枚持っているのかは確認出来ないのも不便だ

 こういった欠点は当時であれば他のゲームでも見られたものなのでそれほど気にする事なくプレイ出来たが現在プレイすると流石にキツく、もはや色褪せてしまった名作という感がある。だが第1作の「ドラゴンボール神龍の謎」でついてしまったドラゴンボール原作のゲームに対する悪評を払拭した功績は大きく、本ソフトが無くば以降もドラゴンボール原作のゲームが出まくるという事態にはならなかったかもしれないと考えると歴史を変えた1本だと言えるだろう