黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

データで見る黄金期ジャンプ3

 今回も引き続き黄金期ジャンプのデータを見ていきたい

 今回見るのは巻末に掲載された回数ランキングである

 巻末に掲載される作品なんてのは基本的に人気の無い作品だから、これまで紹介した巻頭や3番目の回数ランキングと違ってこれは短期終了作品が独占するだろう。と、考えた人は甘い

 説明をする前にまずはランキングを見ていただこう

 

 1位 王様はロバ   100回

 2位 アウターゾーン  56回

 3位 電影少女     18回

 4位 山下たろー    15回

    神様はサウスポー

 6位 BASTARD     13回

 7位 蹴撃手マモル   12回

 8位 ゴッドサイダー  11回

 9位 バオー来訪者   10回

10位 銀牙        9回

 

 独占どころかこの中で短期終了作品は「蹴撃手マモル」と「バオー来訪者」と僅か2つのみである

 

 ランキング入りした作品を見てみると、タイプは4つに分けられるだろう

 1つめは当然短期終了作品。これらは巻末に掲載される確率は高くとも早々に連載が終了してしまう為に絶対数は伸びにくく、最上位まではいかない。因みに短期終了作品全体でみると巻末に掲載された回数は250回もあり、ランキングの11位~20位だと「ロードランナー」、「メタルK」、「スタア爆発」、「アカテン教師梨本小鉄」、「瑪羅門の家族」、「うわさのBOY」、「はるかかなた」、「変幻戦忍アスカ」と8作品もランキング入りしているので、短期終了作品は巻末に掲載されるというイメージは遺憾ながら間違っていないと言えるだろう

 

 2つめは編集部の方針で半ば巻末に固定される作品。1位の「王様とロバ」、2位の「アウターゾーン」がこれに該当するだろう。特に「王様はロバ」はその傾向が顕著で、まだアンケートの結果が掲載順に反映されない3話目には早くも巻末を飾り、その後は黄金期が終了してからも殆ど毎号巻末を死守し続け、最終的な巻末掲載数は120まで伸ばしている

 

 3つめは、失礼な言い方になるが地味な中堅作品が地道に巻末掲載を積み上げ、終了間際にスパートするタイプ。これに該当するのは「山下たろー(県立海高校野球部員山下たろー君)」、「神様はサウスポー」、「ゴッドサイダー」の「銀牙 流れ星銀」の4作品だ。「銀牙」はアニメ化したほどだし地味じゃないだろうとツッコミが入りそうだが、アニメ化したにしては地味という事で(もっと失礼)。因みに「山下たろー」と「神様はサウスポー」は連載終了時期が1号違いなので、もし時期がずれていたなら互いに回数を伸ばしていた可能性もあった。実に惜しい事である

 

 さて、ここまでの3タイプで8作品が該当した訳だが、残る2作品「電影少女」と「BASTARD」に共通するタイプとは何なのだろうか?

 そう、エロである

 とはいえ、巻末に掲載された理由は両者では異なる。「電影少女」の方は、あい編と恋編の2つのエピソードがあり、あい編が(そこまで地味でもないが)3つめのタイプ、恋編が1つめのタイプで巻末を重ねたハイブリッドタイプだ

 対して「BASTARD」は、作者が遅筆で原稿がなかなか完成しない為に後ろに回されたのだろう。最終的には原稿を落として増刊送りになってしまったし

 

 では、逆に巻末と縁が薄い作品はどんな作品だろうか?

 それは勿論、前回紹介した3番目に掲載されたランキングの上位に入るような人気作品である。とは実は言い切れなかったりする

 確かに「DRAGONBALL」、「SLAM DUNK」、「北斗の拳」のトップ3は連載開始からただの一度も巻末を経験する事なく連載を終えている。特に「SLAM DUNK」なんて最終回までが巻頭という特別扱いだ

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こち亀も黄金期では巻末の経験は無い。さすがに全話調べるのは面倒くさいのでそれ以外は知らないが

 しかし4位以下に目を移してみると、「ろくでなしBLUES」、「聖闘士星矢」、「キン肉マン」、「魁!男塾」が、ランキング外では「CITY HUNTER」、「まじかる☆タルるートくん」、「ジョジョの奇妙な冒険」といった有名作品が巻末を、それも複数回経験していたりする。さすがにアンケート至上主義のジャンプ、どんな作品だろうが人気を確立するまでに低迷した時期があったり、連載終了間際にグダってしまったりすると容赦なく巻末に回されるのだ

 ただ、上に挙げた作品のうち「キン肉マン」だけは事情が異なる。同作品は巻末を8回経験しているのだが、それは作者が腰痛で倒れて執筆不能になったので過去原稿を再掲載した為である。他のジャンプ作家も連載中に腰痛で倒れた事は何度か見られたが、そういう時は皆普通に休載しているのだから、たとえ過去原稿だろうが掲載しない訳にはいかないという、逆に人気の証だったと言えるだろう

 

 他にもまだまだ興味深いデータは尽きないが、何度も何度も続けて紹介するのもアレなので、続きはまた別の機会にするとして今回は終わりにさせていただく