今回紹介するのはとあるジャンプ作家の短編集である。…のだが、そのタイトルを見ただけで誰の短編集で、どんな話が収録されているのかわかる人も少なくないだろう。それどころか勘のいい人なら当記事の見出しを見ただけで気付くかもしれない
一体それは誰の事か? バレバレかと思うがクイズに付き合って欲しい
問題の短編集のタイトルはこちらである
ボクは岬太郎
答
え
は
わ
か
っ
た
だ
ろ
う
か
?
そう、作者は「キャプテン翼」でお馴染みの高橋陽一で、短編集のタイトルにもなっている作品は「キャプテン翼」の主人公である大空翼とはゴールデンコンビとも称される名パートナーの岬太郎を主人公とした話である。そして、野暮ではあるが記事の見出しを説明させてもらうと、翼の「ボールは友達」という有名な言葉から翼=ボールの友達で、その翼の友達である岬はボールの友達の友達となる訳だ

作者は平松伸二のアシスタントを務めつつ「友情のイレブン」、「番長キーパー」、「悪友バッテリー」、「おんぼろエンゼルス」とフレッシュジャンプ賞佳作を何度も受賞、80年には「キャプテン翼」で同賞入選を果たすと同年18号に掲載されてデビューを飾る。因みにこの時の主人公の名前は翼太郎で、そこから連載化に伴い主人公が大空『翼』となり、残った『太郎』が岬の名前に当てられるのだからその点でも2人は名コンビだと言えるだろう
さておき、同タイトルで翌81年18号から連載デビューを飾るといきなりTVアニメ化するなど大ヒットを飛ばしただけじゃなく海外向けに翻訳され、中田英寿やジネディーヌ・ジダンなど国内外の有名プロサッカー選手が「キャプテン翼」を読んで憧れていたと言うほどサッカー界に影響を与える事になるのは有名な話である

また、連載終了後もジャンプでの「ワールドユース編」をはじめヤングジャンプにグランドジャンプと掲載誌を変えて何十年にもわたってシリーズ作品を連載し、シリーズがようやく完結したのは昨年の事であった
本単行本はそんな高橋陽一の短編集の第2弾で、「キャプテン翼」を連載中に並行して描いた作品を収録したものである
収録作品は以下の通りで掲載誌も併記しておく
卒業 100Mジャンパー2 85年17号
BASUKE 87年5号&6号
ここからは作品の説明を
ボクは岬太郎
本単行本の表題作で、上述の通り「キャプテン翼」の登場人物である岬太郎を主人公にしたスピンオフ作品。内容は南葛SCが全日本少年サッカー大会に優勝し、太郎が南葛小から転校して一カ月後の話で、パトロンからフランスで絵画の勉強をするよう勧められた父の一郎の元に離婚した母の由美子が訪ねて太郎を引き取りたいと申し出てくる。これまで自分の都合で全国を転々とさせてきた父は、息子の事を考えた末に太郎と母を引き合わせようとするのだが、太郎の心中は…というサッカー&家族ドラマ
卒業 100Mジャンパー2
タイトルに『2』とあるように82年13号に掲載された「100Mジャンパー」の続編。内容は高校生にしてノルディックスキージャンプ選手である北斗千春が、卒業という人生の節目を迎えて選手として、そして卒業後は離ればなれになる幼馴染のみゆきとの関係に懊悩するスキージャンプ&青春ドラマ
BASUKE
場助中バスケットボール部員である明間佳介は、全国大会の決勝で憧れの選手であった大橋武彦が引退後に総監督を務めている東政大付属中と対戦、終了間際にキャプテンの須本が放ったシュートが外れて優勝を逃してしまう。それからしばらく経ったある日、大橋が須本に東政大付属高の特待生待遇と引き換えに試合で手を抜くよう要請していた事を知ってしまいショックを受ける。というバスケ漫画
以上、収録作品の3本は大ヒット作の「キャプテン翼」と同じサッカーだけじゃなくテニス漫画の「翔の伝説」や野球漫画の「エース!」など色々なスポーツ漫画を描いてきた作者らしく種目的にはバラエティに富んだとも、結局みんなスポーツものだからバラエティが貧弱とも言えるラインナップとなっている

また、内容について3作品に共通して言えるのは、短編という限られたページではスポーツシーンを中心に描くのは厳しいのか、ドラマメインの作品になっているので「キャプテン翼」のような派手な試合を期待すると拍子抜けするかもしれない
それにしても作者はスポーツ以外を題材にした漫画を描いた事はあるのだろうか? 調べた限りだと短編含め1作も見つからなかったのだが