黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

五輪とジャンプ

 本日は東京オリンピックの開会式が行われる日であり、これを書いているまさに今、式が行われている最中である

 本来は昨年に開催されるはずであったところをコロナ禍の為一年順延してもまだ収まらない中での開催強行には今なお批判も多く、また、運営面でも新国立競技場の建設コスト問題に始まり、エンブレムデザイン盗作問題、更にここにきてセレモニーに関わる人物が過去の言動が問題となり次々と辞任、解任されるグダグダぶりと、既にケチがつきまくっている感は否めない。私自身もスポーツ観戦は好きだし、そこまでオリンピックに悪感情は無いにしろ、あまり熱を入れて見る気が湧かないというのが正直な気持ちである

 が、そういった真面目な話は一旦さておき、自国でオリンピックが開催される事など滅多にないので、今回はオリンピック開幕記念としてオリンピックとジャンプをテーマに少し話題を掘り下げていきたい

 

 ところで皆さんはオリンピックとジャンプと聞いて何を連想するだろうか? 正直なところ、四年に一度しか目を覚まさない為にオリンピック男の異名がある「こち亀」の日暮熟睡男や、「キン肉マン」の超人オリンピックなど、名前がそうなだけで実際のオリンピックとは関係ないものを思い浮かべるのがせいぜいという方も多いのではないだろうか

 それも無理のない話である。なにせジャンプの黄金期においてオリンピックに因んだ作品は読切作品が数本あるのみで、連載作品に関してはオリンピックを描いた作品など皆無、せいぜいギャグマンガで一過性のネタとして触れられる程度なのだから

 しかしながら、オリンピックを描いていなくてもオリンピック競技となっているスポーツを描いた作品は少なくない。黄金期の全連載作品数168のうち該当する作品は、ゴルフなど連載当時はまだオリンピック種目じゃなかったものや、オリンピックはオリンピックでも冬季オリンピックの種目だったものを除いても全8種目、延べ20作品にものぼるのだ

 因みに種目別で見ると圧倒的に多いのはボクシングで、当ブログで紹介した「ハードラック」、「とびっきり」、「BAKUDAN」を含めその数は全部で8作品になる

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 それに続くのはサッカーの4作品(「キャプテン翼」と「キャプテン翼ワールドユース編」を別にカウントすれば5作品だが)、テニス、野球の2作品、バスケットボール、体操、柔道、馬術がそれぞれ1作品ずつとなっている

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野球は正式種目となった92年大会以降のみカウントしました

 それにしても20作品もあればオリンピックを描く作品が1つくらいあってもよさそうなものだが、全くないのはどういうことなのだろうか?

 などと、謎に思う程複雑な話ではなかったりする。当ブログは何度も言っている事だが、ジャンプの正式名称は(週刊)少年ジャンプであり、そのメイン読者層は少年である。故に、連載作品の主人公は読者層と同じく少年である事が多い。この法則は当然オリンピック種目を題材とした作品にも当てはまる訳で、有名どころだとバスケットボール漫画である「SLAM DUNK」の桜木花道も、サッカー漫画である「キャプテン翼」(及び「キャプテン翼ワールドユース編」)の大空翼も然りである。翼は他誌の続編では成人するけど

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 なので、主人公の年齢的にオリンピックは目標の大会になりえないというのが理由としては一番大きいだろう

 そしてもう1つ別なケースとしては、主人公の年齢的にはオリンピックが目標になりえるが、オリンピックより大きな目標がある場合だ。例えば種目別で最多の8作品もあるボクシングでは「BAKUDAN」などはオリンピックよりプロの世界チャンピオンが目標となっている。他誌も含めると「あしたのジョー」など多くの作品もそうである。また、黄金期の間はオリンピック種目ではなかったので今回は除外したゴルフだとマスターズなどのメジャー大会が優先される事だろう

 

 どうもオリンピックとジャンプとの関係について話題にするつもりが、いかに両者が関係が無いかという真逆の話題になってしまって自分でも困惑しているが、最後に1つだけ言いたい。この状況下でのオリンピック開催について否定的な考えを持っている人は少なからずいるだろうし、私はそれを否定する気は無い。だが、出場している選手達に非がある訳では無いのでその矛先を彼らに向けるのはやめて頂きたいと思う次第である