黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

続編にして続編にあらず

 今回は前回のジャンプ黄金期の第18期を掘り下げる記事でも少し触れたこちらを紹介したい

 

 聖闘士星矢黄金伝説完結編(88年5月24日)

 バンダイ

当然ファミコンジャンプミニにも収録されている

 

 さて、本ソフトは前回の記事で述べた通り「聖闘士星矢黄金伝説」の続編である。しかも、前作のタイトルに完結編と加えられた事から本ソフトを知らない人は話的にも前作からの続きであると想像した人もいるのではないだろうか、というか私がそうだった

 

shadowofjump.hatenablog.com

 

タイトル画面も似通っている

 だが、実際はそうではない。本ソフトは前作発売時にはまだ原作がそこまで進んでいなかった為にオリジナル展開となっていた黄金十二宮での戦いを原作に沿った展開に作り直したうえ、十二宮以前の話をオミットした改訂版と言える。だからこそ当記事のタイトルをこのように銘打ったのである

 

 オミットされたのは話だけではない。システムの方もかなり簡略化され、前作にあったAPow、DPowなどといったパラメーターがなくなってCOSMOと前作でのDAMAGE相当のLIFEだけとなり、それに伴って前作ではシミュレーションモード、今作では3Dシミュレーションと呼ばれる相手聖闘士との戦闘もターン毎にCOSMOを各パラメーターに割り振りその度合いによって技が変わるのではなく、コマンドで技を選ぶだけに変わっている

 

 一応劣化しただけではなく、相手が攻撃する瞬間に十字キーを右か左に入れると攻撃を交わしてノーダメージで済ます事が出来るのだが、これが出来ると戦闘が有利になるというより相手の攻撃の威力が高くてこれが出来なければ勝つのは厳しいのにタイミングが結構シビアなので単純なのに難易度が無駄に高いという誰得システムになってしまっている

少しだけ左に動いているのがお分かりだろうか

 

 また、移動モードも簡略化され前作では基本的にマップを自由に移動出来て探索要素があったのが単に各宮に着くまでの横スクロールアクションになっている

 しかもアクションとしての出来は前作から何の進歩もなく、あいかわらずキャラの挙動が不自然かつ操作感も悪いので敵をかわしきれなかったり穴に落ちたりでLIFEとCOSMOがガリガリ削られてストレスが溜まる。そして回復するには雑魚を倒して獲得したセブンセンシズをLIFEとCOSMOに変換するのだが、減った分を補填する為に雑魚を狩りまくろうにも一定時間同じ場所に立ち止まっていると頭上から岩が落ちて来てダメージを食らうのでそれもままならないと、ここでも無駄に難易度を上げてしまっている。このあたりはプレイ時間が長い程良いゲームだという風潮が当時あり、探索要素が無くなってマップを行ったり来たりする時間が無くなった分を何度もやり直させる事でプレイ時間の水増しをはかったのだろうか

 

 ついでにVSモードもオミットされているが…これは元々1度やればもう充分というほど面白くなかったので別にいいか

 

 ここまでの文を見ると前作から駄目になった所はあっても良くなった所はないのか、と思うかもしれないが勿論無い訳ではない

 まず一目でわかるのは3Dシミュレーションにおけるビジュアル面の進化であろう。キャラが大きくなっただけでなく、途中の演出や動きのバリエーションも前作より更に増えて迫力が格段にアップしている

 

 そして前作では全く使う必要も価値も無かった仲間にも使い道が出来て、相手の黄金聖闘士に対して原作で戦ったキャラを出した場合は戦闘が有利になったり原作同様のイベントが起きたりする。自分の手で原作を再現する行為はファンにしたら嬉しい事だしキャラゲーにとっては重要な要素の1つであろう

 

 だが、その点については問題もある。せっかく出すキャラ自由に選べるのに原作再現を強制するあまり原作通りにキャラを出さなければ絶対クリアできないという場面が多々あるのだ

 

 無論本ソフトをプレイしようなどという人は原作のファンだし、そもそも出せるキャラが多くないからそれでゲームが詰む事は無いだろう。しかし原作再現はキャラゲーならではの魅力であるのと同時に、原作にないifの展開もまたキャラゲーならではの魅力なのでそれが制限されてしまうのは残念である。ifを許したくない場面があるのなら最初からその場面はキャラ固定で良かったのに

 以上をふまえて本ソフトを簡潔に評価すると前作よりキャラゲーとしては進化したが、純粋なゲームとしては劣化したと言え、前作とどちらがいいかは個人の好みにもよるが本ソフトをプレイしようという人の多くがどういう人種かを考えると本ソフトに軍配が上がるのではないだろうか

 しかしながら、そもそもが残念な出来の前作と比べて良かったからどうだという話であり、むしろ前作から一年近く経ったのにこの程度なのかと考えると前作よりも残念な出来だとも言えるだろう