黄金期ジャンプの影

主にジャンプ黄金期の短期終了作品について語ります

約30年ぶりの新刊

 本日は前々回紹介した岩泉舞の約30年ぶりの新刊となる「MY LITTLE PLANET」の発売日である

 

shadowofjump.hatenablog.com

  宣言通り私も購入したのでその報告ついでに軽いレビューをしていきたいと思う

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帯のコメントは村田雄介

 

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 見ての通りカバーデザインはバック以外は「七つの海」と一緒だが、サイズは一回り大きく、ジャンプコミックスサイズではなくヤングジャンプコミックスサイズだ。いや、出版が小学館に変わったからビッグコミックスサイズと言うべきか。そしてカバーはリバーシブルになっており、裏返すとこの為に描き下ろしたこちらになる

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 約30年経ったのと、おそらくコンピュータで描いているのが相まって絵のタッチはだいぶ変わった印象だ。洗練したとも言えるし、没個性になったとも言えるから、この辺は賛否両論あるかも

 さて内容の方であるが、「七つの海」に収録されていた作品に関しては、掲載当時カラーページだった所はカラーで再録されているのが良い。あと、私の所持している「七つの海」はかなり灼けて黄ばんでいるので、比較するとページの白さが眩しく感じる

 次に初収録となる「COM COP 夢みる佳人」(原作村山由佳)、「KING]、「クリスマスプレゼント」(武論尊)であるが、こちらも掲載当時カラーページだった所はカラーで収録されている。が、原稿からではなくジャンプからの転載である為若干荒れが気になるのが残念。話の方は、正直再読するまでは記憶の彼方だったのだが、読んでいるうちに次から次へと思い出してきて、ノスタルジーと自分のポンコツさに泣けてきた。あと、原作付きの2作品については、勿論良い話ではあるし、作品自体にケチをつける気は無いんだけど、元々ストーリーテリングが巧みな作者にわざわざ原作者をつける必要があったのか今更ながらに疑問が

 そして最後に本単行本の目玉と言える描き下ろしの新作「MY LITTLE PLANET」。相変わらずストーリーテリングは巧みであるが、約30年という年輪がそうさせたのか、結構ダーク寄りで」皮肉の効いた作品となっている。これまでの作品でも「たとえ火の中…」とかはダーク寄りではあったが、メインキャラの1人がここまでダークなのは初めてだ

 まだ軽く一読しただけだが、面白く、作者の才能が感じられる作品ばかりである。と同時に改めて思うのは、やはりジャンプ向け、少なくともジャンプのメイン読者層に受けるタイプではないという事だ。今更詮無き事ではあるが、もし作者がジャンプではなく他の雑誌でデビューを目指していたらどうなっていたかと思いを馳せる自分がいる

 

 ところで余談ではあるが、私が本単行本を買いに行った時、1件目の書店では入荷してないばかりか、店内の端末で検索をかけたら「該当商品なし」と返されて、もしかして新刊が出るというのは現実ではなく夢の出来事だったのかと一瞬思ってしまった。まあ、そんな訳はなく2件目で見つけたのだが、それでも在庫はたった1冊だった。私は地方在住ではあるが、結構大きめの都市で書店も大きかったのにこのザマであるから、買いに行ったのに売って無かったとスゴスゴ帰ってきた方もいるのではないか。そういう方は電子書籍版もあるのでそちらも考慮に入れたらどうであろう